エキサイトイズム

カテゴリ:建築( 6 )

等身大の建築家。

こんにちは。R-STOREの浅井です。

mosakiの awesome!4号を本日読んだ。谷尻誠さんのインタビュー。
いや、あれだね。なんだか最近建築に対して言うことがなくって、「自分建築に興味失っちゃったのかな」なんて心配してたんですが、awsome!読んでわかりました。谷尻誠さん名刺交換しかしたことないのに失礼なんですが、こういうスタンスの建築家がすでにいらっしゃるんですね。建築を勉強して、不動産をやって、だからこそ見える建築界の異様さみたいなものを自分なりに今まで発信してきたつもりだっし、もっとビジネスチャンスあるよって言ってきたつもりだったけど、建築家の中に逆にこの異様さを利用してビジネスをつくっていこうとする人が現れているとなると、もう既に自分が外から建築界を見てどうのこうのと言う必要もないな、と。

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図々しさって営業の基本ですね。


どう考えても建築家ってダサいよね、ヤバいよねっていう、なんとなくみんなわかってたんだけど誰も言わなかった、言えなかったことをサラリと言ってしまう建築家が現れて、しかもその方は結構な支持を受けていて。それも建築家にではなくて、クライアントになる人から支持されていて、その支持が仕事というかたちに結実していて。っていう。
なんで支持されているかというと、クライアントとちゃんと会話できるからで、インタビュー中にもありますが「自分と付き合うと得だよ、ということを常にプレゼンしている」って。それはいわゆる他の職種でいうところの「営業」ってことにほかならないわけですが、これも文中にありますが「建築家ってプライド高い」ので、なかなかそういうことができる方が少ないというのは僕も感じるところで。でも、それをやるからこそ建築が先生方の天上界から僕たちみんなの世界にちゃんと降りてくるわけです。
だから、ちゃんと話したことないのにこんなこと言うのも失礼なんですが、谷尻誠さんって極めてまともな人なんだろうと思います。すごくわかりづらい建築界にこういう方が現れたら支持されるのはごく自然なことだよなあ、と。なんて言うんですかね、等身大?

以前、awsome!!のローンチパーティのときに、一瞬だけ谷尻誠さんのトークを聞いたんですが、そのとき印象に残ったのは「建築界は遅れてるからまだまだビジネスチャンスがあると思って建築家になった。」という一言。それと「建築家はすぐに大きな社会問題を題材にするけど、僕にとっては明日所員の給料をちゃんと支払えるかどうかの方がよっぽど大きい問題」って言葉。「ああ、建築家に足りないのってこういうまともな感覚だよな」って思った記憶があります。
そういう言葉を建築家の方から聞く時代がこんなに早く来るとは思いませんでした。いつかゆっくりお話したいなあ。

awesome第4号。必読です。

R-STORE 浅井

by r-store_asai | 2015-01-14 17:54 | 建築

新国立競技場について思うこと。

こんにちは。R-STOREの浅井です。

元倉真琴さんという著名な建築家の方が安藤忠雄さん宛の公開書簡と称した文書をインターネット上に公開し、SNSなどで拡散されている。

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ザハの当初案 のびやかでダイナミック。

常々思うけど、デザインや計画の良し悪しに「絶対」的な尺度なんて存在しないし、何が良くて何が悪いかなんてこともないし、好きも嫌いもあって当然だし、国立競技場を新築しても改修してもどっちが良いということもないと思うし、どちらにしたって全員賛成ってことは無いわけで。

国立競技場はそもそもは7mちょっとという高さだったそうだ。それが東京オリンピックで現在の23mになった。つまり3倍。それがザハの案では70mである、また3倍。
何が言いたいかというと、「ザハ案ってデカいよね」ってことじゃなくて、そもそも現在の国立競技場だって3倍になった経緯があって、それだってずいぶん暴力的な出来事だったと思う。でも何十年という時間の経過とともにあの場所に根付いたわけで、ザハ案だってそうなっていくと思う。そもそもあれだけ大きな建物が歴史的な文脈を破壊しないなんてことは有り得なくて、でも破壊するということは、次の歴史を創造するということでもあるわけだ。湾岸だったら歴史的な文脈が無いから湾岸につくろうって話もあるけど、じゃあ湾岸の50年後はどうするんだ?という問題もある。これから歴史をつくっていく場所なわけだから。
僕としては合法的な手続きで、もう決めちゃったんだから、できるだけポジティブな結果になるように応援したいと思う。現国立競技場みたいに、長い年月をかけて蔦とか絡んじゃったりしたら、不時着して棄てられた宇宙船みたいに見えて格好良いかもとか、結構ポジティブなイメージが膨らんでいる。中途半端にだけはしてほしくない。

で、件の書簡なんだけど、この文書を読んで感じてしまったのが安藤さんとザハを「敵」と見立てて叩くことで改修ムーブメントを盛り上げていきたいのかな、ということ。安藤さんは大学を出ていなくて、どこの学閥にも属していないから日本建築会では異端の存在、ザハはそもそも外国人。建築界の「外」にいる二人だから標的にしやすかったのかなあ、とか。
だとしたら日本建築界はやっぱり排他的な建築「ムラ」なんだなあとか思って、がっかりしてしまったり。伊東さんや妹島さんがこのコンペに当選したとしても、やっぱりこういった書簡を出したのだろうか?とか。いやいや「ムラ」なんだから、身内には出せないよねー、って思ってみたり。

ある人のFBへのコメントで知ったのだが、実際にコンペの結果が出る前に行われたこんな調査もあったようだ。
この結果からわかることは、多くの建築関係者(ケンプラッツを読んでいる人)はザハ案が良いと思っていたということ。そして、それとは裏腹に妹島案に当選してほしいと思っていたこと。

もちろんここに書いた感じ方はあくまでも私の個人的なものであるということを改めて強調したい。
しかし同時に強調したいのは新国立競技場案は合法的なプロセスで決まったことなのだから、今からできることは、よりポジティブに、ザハ案が最高のものになるように議論していくことではないだろうか、と私は思う。
現時点での修正案は、改修派への配慮もあったのか、当初の伸びやかな躍動感がまったく失われてしまっている。このまま進むとしたら少し残念だ。

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修正案。う・・・悲しい。


こんなところで。
R-STORE 浅井

by r-store_asai | 2014-06-11 10:00 | 建築

母校の卒業設計審査会に行ってきた。

こんにちは。R-STOREの浅井です。

先週日曜日に、出身大学建築学科の卒業設計の審査会に審査員としてお招きいただいた。
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母校。大雪の翌日でした。

こうして呼んでいただけるのも3回目だ。僕が学生の頃にも同賞は存在したが、審査員の方々は建築家として活躍されている方々ばかりで、そういった方々が、あくまでも先輩建築家として建築家の視点で作品を評論する場であり、僕のような門外漢はいなかった。そこに建築学科で学んだとはいえ、不動産屋の自分が顔を並べているわけだから、時代は変わったなあと思う。

当たり前のことだけれど、建物は重力が存在する限り、土地とは一体不可分な存在で、僕が専門領域としている不動産とは切っても切れない関係にある。不動産と関係しない建物などありえないし、実際に建てようと思えば、様々な不動産実務に関わらざるを得ない。

しかし、大学における建築「学」は、飽くまでも学問であるから、紙の上の物語である場合がほとんどである。地べたで行われている生々しく現実的なやり取りは、アカデミックな「学」の世界ではほとんど語られることはなかった。
「学」はクリーンで崇高なものであるから、金銭という生々しく下品なものに左右されてはいけないし、その為にも切り離して語られなければいけなかったように思う。

ただ、大学で教鞭をとるような人たちを除き、多くの建築家は紙の上の物語だけでは生きてはいけないし、現実的で生々しいやり取りのスキルも身につけなくてはならない。そして、建築家と協業することもある今の立場になってみると、そういったスキルを身につけた建築家の言葉やデザインにはクリーンなものからは決して感じられない強度を感じることができる。

僕は建築を離れてすでに10年以上が経つし、実務の経験も無い。図面を読むレベルなど学生以下だと思う。でも、そんなことをわかりながらも、僕を審査員として呼んでくれたということは、きっと建築学とリアルの狭間を埋めるような役割を果たして欲しいということなのだと勝手に解釈している。少しでも役割を果たすことができていれば嬉しいが。

また、一方で僕自身も建築のクリーンな言語がわかる不動産屋でありたいと思っているので、僕自身も毎年多くの刺激を受け取っている。この場を借りて、他の審査員の皆さん、事務方をやってくださっている先生、大学院生、そして学生の方々に感謝したいと思います。

ここから先は記録として、それぞれの案に対する僕の講評です。もっと色々とコメントしたいのですが、長くなり過ぎますので、続きはまた飲んだりしたときにでも。
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提出された作品たち。A1サイズ5、6枚の図面と、巨大な模型を皆がつくっています。
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合計22作品でした。どれも力作ぞろい。

ちなみに学生がつくったHPはこちら(まだ作品はアップされていないようです)

<総評>3年間審査員を続けてきて、今年が最もレベルが高く感じました。多くの案から、(未熟ながらも)おとぎ話で終わらない社会的にも経済的にも一定のリアリティを持たせようとする意図が感じられたことは、僕の立場としてはとても嬉しく思いました。

01この提案の一番のポイントである構造の仕組み自体が破綻しているのは痛い。もう少し研究すべき。また錦糸町の駅前という商業ポテンシャルの高い場所に対する提案にしては、容積率が未消化であるなど矛盾を感じた。

02商業施設という正解がほぼ固定化されているビルディングタイプに対し「非難」という新たな切り口から提案を試みた意欲は評価したい。しかし、従来の商業施設に対するリサーチの未熟さゆえのリアリティの欠如は痛い。

03既存の改修案にも関わらず、既存の建築や街並に対する考察が浅い。しかし、衰退する駅前商業を無理に延命させず、用途を変えて新たな命を与えようとする提案には共感した。

04いくつか見られた衰退する地方都市への提案の切り口としては、最も実現可能性を感じることができた。しかし、本人がその可能性に気づいておらず、提案のクオリティは低く極めて未熟であり勿体ない。

05ストーリー性や必然性が希薄なところが提案全体の強度を失わせている。出来上がったシーンは面白いが、根拠や必然性が無い為におもちゃ箱のようにちぐはぐに感じてしまった。

06結局デザインしたものは建築でなくて車だったというのが、建築学科の卒業設計としてどうなの?ということはあるが、「もう建築なんていらない」と言っているかのようにも取れるシニカルな提案は僕好み。

07河川の親水空間が有効活用されていないどころか、都市の裏側になってしまっていることに異論はなく、それに対する提案は求められていると思うが、イベントスペース間の提案が無い状態では評価しづらい。

08エコとかサスティナビリティというテーマは総論賛成の反論しづらいテーマで、逆に面白みを感じづらい。砂漠の中に突然できた太陽光発電装置のような、完全にスケールアウトした造形は迫力があった。

09ゴミ問題は人が生活する以上向き合わなければならない問題であり、テーマ設定としては良いと思うが、目黒という土地に対して人々が持つ期待を考えると、この土地のポテンシャルを逆に毀損してしまう提案になっている。

10建築というよりもアート作品のように感じられた。むしろ用途や機能からは離れて、ニュータウンに対するシニカルなメッセージを込めるなど、アート作品としての強度を高めて欲しかった。

11リニアの開通はすでに決定事項であり、そういう意味では実現可能性が担保されているものをより良くしようという提案はあって然るべきだと思う。ただ、その場合はより濃い設計密度が求められる。

12不在のため講評なし

13とある酒屋のためのプライベートな提案に過ぎず、個人的にはもっと広がりのあるテーマに挑戦して欲しかったという思いはある。設計密度は高かっただけに、模型の精度を高め、内部空間の大模型をつくるなどプレゼンを工夫すれば、より評価は高まったのではないか。

14地方都市に対する提案として、一定のリアリティを感じた点を評価した。今後の地方都市に対する投資は観光と複数拠点居住、ノマドワーク等がテーマとなってくると思うので、今後も掘り下げていって欲しい。

15商業施設の設計は、収益性と意匠のトレードオフが非常に難しく、結果として双方とも中途半端になってしまう商業施設が多いが、収益性の本質がファサードにあると見極め、それを操作することで収益性とデザインの二兎を見事に捕まえた力作だった。

16オフィスの空室問題は、超高層のSクラスビルではなく、むしろ中小規模の古いオフィスビルが抱える問題である。提案対象の見極めをしっかりと行い、経済合理性を考えることで、よりリアリティのある提案になる。

17古ビルを建て替えが進まない理由をもっと深く掘り下げ、それに対してリアリティのある提案をして欲しかった。古いから建て替えましょうという話が簡単に進むほど、現実世界は甘くはない。

18場所の設定、都市空地の使い方、空間構造とプログラムの親和性、どれをとっても素晴らしい提案だったが、惜しむらくは本人が良い提案であることを自覚できなかったことか。

19都市部の旗竿狭小住宅は現代のスラムみたいなもので、誰が見ても良いものではないが、経済的には非常に合理的でそれゆえに生まれ続けるという現実を折り込むと、建築デザインの提案に留まらない、よりリアリティのある提案になったと思う。

20海外に対する提案という点のみで一票。縮小していく日本に対する提案にこだわる必要は何も無い。ビジネスチャンスは世界中にある。しかし出来上がった空間がスラム以上のものとはどうしても思えず。

21ビル間の隙間に人工地盤をかける提案は卒業設計の定番と言えるくらい頻繁に目にするが、こういった提案がどうすれば実現可能なのかいつも悩む。新築ビルを建設するよりも、こちらの提案が良いという経済的合理性にかなった理由づけができれば面白いのだが。

22堤防建設に対する対案としては面白いと思うが、結果的に流れの無い「ため池」に隣接する空間が気持ちよいものなのかどうか、安心して住めるのかどうか疑問を払拭できなかった。

それでは。学生の皆さん、本当にご苦労様でした。
R-STORE 浅井 

by r-store_asai | 2014-02-12 13:08 | 建築

建築のメインストリームと賃貸住宅。

こんにちは、R-STOREの浅井です。

年の瀬ですね。
早いもので、弊社もあと3日で仕事納めとなります。
本年一年大変お世話になりました。
本ブログを読んで頂いた方もありがとうございました。

とうことで、このブログの更新も年内は最後となります。
何を書こうかな、と考え、昨年の今は何を書いていたのだろう?と見てみることにしました。すると、これ(笑)。
この時期だったんですね。このブログを書いたのは。件の物件も、どうやら現在は満室稼働となったようです。直近の空室は有り難いことに弊社がご紹介させていただいたお客様にご入居いただきました。

しかし、あれですね。妹島さんにはこんな住宅もあったんですね。現在2室募集中です。
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すごいぐにゃぐにゃ。中もぐにゃぐにゃです。
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かっこよいけど、怖い手すり。子供とは住めないかも。
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すさまじい平面。


結局バブル時代にスターダムにのし上がった巨匠達が、70歳、80歳となってもまだまだ発言力を持っている。そしてそのフォロワー達がまだ建築界ではメインストリームとして扱われている。
巨匠達が活躍した時代は、高度経済成長期からバブルにかけての時代で、日本は右肩上がりの成長を続けていて、税収も伸びていた。その税収を当て込んで、様々な公共建築を建てた。それが巨匠達の活躍のフィールドだったわけです。逆に言えば、巨匠達の活躍は、国家の公共投資に支えられていたとも言えるわけです。
その公共投資が現在はどういった状況なのかは言わずもがなです。
しかし、建築のロジックや教育は公共投資が支えた彼の時代を相変わらずフォローしている。そんな感じなのかなあ、と。妹島さんは既に巨匠ですので、例としてはふさわしくないですが、群を抜いてすさまじかったので、写真紹介しました(笑)・・・

新国立競技場の是非についての議論が盛り上がっています。計画に反対している建築家の方も多くいるようです。私は建築家は収支なんて気にしない人種だと思っているので、いきなり「税収減が予想されるなかで、あの規模を維持できるのか」とか言っちゃって、「どうしたの?急に」という驚きを持って議論の行方に関心を持って見ているのですが、でも私からすれば、あれこそ好きなことやっちゃって欲しい。好きなようにデザインして、造形して、建築家の真骨頂を見せて欲しい。あれこそ、彼の時代のフォロワーの腕の見せ所じゃないの?そう思います。ザハ・ハディド、良いじゃないですか。彼女を見いだしたのは巨匠の一人である磯崎新氏なわけですし、磯崎氏と言えば「俺は公共しかやらない」と言った人でもある。完璧にメインストリームに乗っかってるわけです。ここでやり切らなくて、どこでやる!?と。

もちろん、例のコンペがオープンじゃなかったという問題指摘はその通りなのかもしれないですし、本来であればあのコンペで力を発揮したかったフォローワーたちに機会が与えられなかったと言う問題はあるでしょう。それは置いておいても、現在の建築家と住宅を取り巻く状況を第三者的に見ると、メインストリームのフォロワーでありたい建築家が、公共という地盤を失って、住宅の方に流れてきている感じがします。そして住宅という私的な器において、公共に支えられたロジックを展開しようとするから、とんでもないものになっちゃう。そんな感じかな、と。まあ、個人宅や自邸なら良いんですが、賃貸住宅は不味い。

斜に構えた見方ではありますが、そんな状況が昨年に変わらずあるように思います。

足元では景気が堅調で、マンションや建て売り住宅の販売も好調だそうです。一方でこの状況は供給過剰を意味するわけで、持家の将来に渡る資産価値の維持は難しいでしょう。悪い予想をすれば、資産価値下落によって自宅を手放し賃貸に移る人もいるはずです。また、そういった状況を予測し持家という選択をそもそもしない方も多くなっています。いずれにせよ、私の立場としては、賃貸住宅がもっと住みやすく、気持ちの良いものであって欲しいし、建築を学んだ立場として、そこで活躍するのが将来的にも建築家の方々であって欲しいと思っています。メインストリーム以外、もしくはアンチメインストリームの方々にこそ、その可能性があると思うんですけどね。

みなさま、良いお年をお迎えください。

R-STORE浅井

by r-store_asai | 2013-12-25 11:33 | 建築

引き続き新国立競技場について考える

こんにちは、R-STOREの浅井です。

先週のエントリーに続き新国立競技場問題。今朝の日経新聞に関連する記事が載っていた。見出しは「開閉屋根、理想と現実」。規模縮小については、既に決着がついたような書き方で、論点は予算、しかも開閉屋根にかかる予算に移っている。前回のエントリーで触れた建築家からの意見については、「世界的建築家の槙文彦氏ら約100人が連盟で規模の縮小を文部科学省や東京都に文書で要望した。」と、ほんの数行。なかなか道のりは険しそうである。
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日経の記事 2013年11月27日朝刊


しかしながら、槙さんを担ぎださないと文句も言えない建築界というのも情けない。第一声が槙さんのJIA MAGAZINEへ寄稿だったというのも、なかなか悲惨だ。槙さんと言えば1928年の御生まれなので、数えで85歳になられる。そんな大御所が第一声を上げて、それに後から乗っかる若い建築家という構図はいかがなものか。槙さんのネームバリューを利用しようとして、誰かが槙さんを焚き付けたというような、したたかなストーリーがあったとしたら面白いなと思ったし、だとしたら一定の成功は納めたと思うが、発起人に伊東豊雄さんや、隈研吾さんという、槙さんと同等かそれ以上に有名なお二人がおられるところを見ると、そういった意図も無さそうだ。

もっと政治に対する上手なアプローチのが必要だと感じる。この種の政治的判断にボトムアップで、しかも後だしで抵抗しようとするのは無理があるし、後だしで騒ぐのは市民の心象も良くない。
誰もがわかっていることだが、意思決定の段階から建築家が関わっていくようにするしかないだろう。要するにロビー活動である。例えば今回の件に関して言えば、主催した日本スポーツ振興センターは文部科学省の外郭団体だから、文教族議員へのアプローチとか。文教族議員に対してパイプのある著名な建築家は当然いると思うし、安倍首相のロシア訪問に同行した政治力のある組織事務所もある。政治的なアプローチができないとも思えない。

一方で、コンペの審査員には、安藤忠雄さんはじめ著名な建築家や建築史家の方がいらっしゃるし、建築家仲間が審査をやっているわけだから、その方々と事前に意識共有みたいなことはできなかったのかなあ、などと思ったりもする。同じ建築家とは言えど、仲がよろしくないのだろうか?

また、さらに一方で、安藤さんと同じくプリツカー賞受賞者である妹島和世氏率いるSANAAはコンペに参加しているし、同じくプリツカー賞受賞建築家である伊東氏に至っては、コンペに参加しながら、今回の意見書の発起人にもなっているのだから訳がわからない。そして発起人に名を連ねている面々はほとんどがアトリエ系と呼ばれる個人に近い活動をされている方々。当然、ゼネコンや、組織事務所と呼ばれる設計者を数百人抱える事務所の名は無い。

要するに、建築界はすごくバラバラな印象だ。アトリエ、組織、ゼネコンなどの垣根を飛び越えて、意見を集約しなければ政治的な発言力は高まらないだろうな、と思う。理想論であるし、利益相反する部分もあり難しいとは思うが、第三者としては、それらがまとまり、少しでもロビー活動ができたりすれば、日本の都市景観も変わってくるように思う。逆に言えば、それができなければ永遠に変わらないのではないだろうか?

今回の意見書が、どのように結果に影響するのかはともかく、ヤフーのトップニュースにも取り上げられ、新聞にも大きく取り上げられ、今までに無かったような盛り上がりを見せているのも事実だ。この議論を契機に、日本を愛する建築家たちの政治参加が進み、発言力が少しでも大きくなることを期待したい。

こんなところで。

R-STORE浅井

by r-store_asai | 2013-11-27 12:00 | 建築

新国立競技場案について。


こんにちは、R-STOREの浅井です。

紅葉が美しい季節だ。そろそろ神宮外苑の絵画館へと続く道がイチョウの落葉で、黄色い絨毯のようになっているころかも、などと思いながら、ふと最近話題になった新国立競技場のことを思い出した。絵画館の先に新国立競技場はできるらしいからだ。
日本建築界の大家である槙さんが問題定義をされたことで、この問題は最近のホットトピックとなった。

槙さんの提言を読むと、継続的な人口減少に伴う税収減が見込まれる日本において、あの規模の施設を維持していくだけの体力があるのか、という部分については、確かにその通りだと納得せざるを得ないし、それだけでもこの計画を修正するには十分な理由だと思うけど、この提言は予定地の歴史的な文脈とか、風景とか、そういった視点からも当選案を批判している。
槙さんは兎に角、あの巨大さが気に入らないらしく、自分が設計した東京体育館を引き合いに出して、「自分は景観や歴史的文脈を守るために努力したが、当選案にはそれがない」というような論を展開している。
確かにパースを見るとでかいなあ、という風には思うし、夕焼けパースの紫色が強烈で、ぎょっとしてしまうのだが、細部はこれから修正されるだろうし、まあこれも将来的には外苑の風景となっていくのだろうなあ、と個人的には楽観的に考えている。
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当選案のパース。
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夕焼けが写り込んでいるパースだが、紫色になると、さらにぎょっとする(笑)


槙さんの体育館だって、あのギラギラした屋根は個人的には好きではないし、景観に配慮したと言っても、やっぱり千駄ヶ谷駅を降りるといつもぎょっとする。でも25年の年月が、ぎょっとするほどギラギラした建物を、槙さん曰く「穏やかな風景」に変えたわけで、新国立競技場だって、長い年月を経てそうなっていくのだろうと思う。

現在の国立競技場だって、素晴らしい景観をつくっているのかと考えると別にそうでもないし、神宮球場も含め、長い間都民に親しまれた場所という記憶が僕たちをセンチメンタルにさせているのであって、正直言って東京都民歴20年弱のにわか者の自分は、新しいものが建って、そこから始まる未来の方に興味があったりする。それに正直新横浜までサッカーを見に行くのは疲れる。神宮でJリーグや日本代表戦が見られた方が良い(笑)。風景も大事だがエンターテイメントも大事だ。

そもそもコンペの要項なんてとうの昔に発表されていたわけで、槙さん自身も参加を打診されていながら、断っているわけだし、建築家であれば、要項通りにやったらこれくらいのボリュームになることくらい普通にわかるはずで、何で当選案が決まった今になって文句言うの?といういのは正直理解に苦しむところでもある。海外のリファレンダムという市民投票のような制度についても紹介されているが、イマイチな案が出てきたからリファレンダムを持ち出すというのも、後だしジャンケンも良いところだ。もちろん、そういった制度が現存するのであれば、活用すべきだとは思うが、仮に昔からそういった制度があったとしたら、槙さんの様々な建築も当然リファレンダムにかけられたわけで、その結果として槙さんが今ほどの大家になられていなかったという結果もあったかもしれない。

個人的には「この種の建築は誰からも愛されるわけではない」と槙さん自身が言い切っているように(この発言自体も建築の原罪を指摘していて興味深い。槙さんの口から聞くと思わなかったが、その謙虚さが槙さんの素晴らしさだと思う)、どの案であっても好きも嫌いもあるわけだし、あの地への思い入れも人によって違うんだから、あの案を破棄するとか、コンペやり直せみたいなことじゃなくて、あの建物がつくる未来にもう少し期待して、あとはお金の部分を何とかクリアして、末永く使って行こうじゃないか、と。そう前向きに考えた方がいいんじゃないかと思う。建築好きな一個人としては、ワクワクするプロジェクトであるし、このコラムにあるように、議論の過程も含め楽しみたいなあと思う。

こんなところで。
R-STORE浅井

by r-store_asai | 2013-11-20 11:40 | 建築


リノベーション、デザイナーズ、改造OK,賃貸住宅のセレクトショップR-STOREのハンサム社長浅井佳が綴る、住宅やライフスタイルのこと。


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リノベーション・デザイナーズ改装自由、面白くておしゃれな賃貸不動産がいっぱいです。
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