エキサイトイズム

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大学の設計課題が15年前から全く変わっていなかった。

こんにちは、R-STOREの浅井です。

前々回のエントリーで、「建築を建てる根拠には「投資」と「実需」しかない」と述べました。
しかも、現在は人口減少や景気後退もあって実需が細っています。短期的にみればアベノミクス効果や、消費税増税前の駆け込み需要なので、実需の盛り上がりは予想されますが、長期的にはやはり先細りになるのは否めないでしょう。

そういうファンダメンタルを前提としたときに、建築家は活躍するフィールドを投資用建築に移した方が良いと述べました。これは何年も前から本気でそう思っています。小さな実需の住宅ばっかりやってる場合じゃないんです。もっと巨大なオフィスビルとか、商業ビルとかやりましょうよ、と。建築家の活躍できるフィールドを広げて、もっと日本の都市を面白く、美しくしていきましょう、と。建築家も細々とやっていないで、もっと儲けましょうと。ビジネスとしても夢のある職業にして行きましょう、と。そうしないと優秀な人材も集まってこないのではないか。みんな疲弊してしまうのではないか。そんな危機感があります。

話は変わりますが、先日、母校の卒業設計講評会に審査員として呼ばれまして、そ学生と会話をした際に、大学4年間で取り組んだ設計課題は何か?と問いました。驚いたのは、私は1999年に学部を卒業していますが、なんとそこから14年がたった今でも、全く設計課題の内容が変わっていなかったんです。
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我が母校首都大学東京(旧東京都立大学)



美術館に始まり、個人住宅、小学校、企業の保養所、都市施設(オフィスと住宅と店舗の複合のようなもの)、あとは何だったかな・・・?そんな感じです。
いや、びっくり。僕が学んでいた頃と全く変わっていません。時代は変わっているのに。
もちろん、様々なビルディングタイプの設計に触れたり、その要件について思考のトレーニングをすることが悪いとは言いません。しかし、

美術館・・・バブル期には多く建てられましたが、今後ニーズがあるでしょうか?美術館を作れるほどのパトロン的な人がどれほどいるでしょうか?
小学校・・・少子化が進む時代に小学校の設計をするチャンスがどれくらいあるでしょうか?
企業の保養所・・・企業の経営姿勢と完全に逆行しています。建つわけない。使われなくなった保養所をどう売却するかの方が企業の優先課題です。

思考のトレーニングだとしても、課題設定が前時代的過ぎる。全く実践的でない。どうなんでしょう?これって。何か意図があれば教えて欲しいくらい理解不能です。

例えば小学校。もちろん既存の小学校が素晴らしいか、と言われればそれは違いますし、改善の余地はあると思います。古い法律にしばられている状況も変える必要はある。でも、それを大学の設計課題として取り組むほど喫緊の課題なのかな・・・と。それは一部の専門家に任せれば良い話であって、必ずしも全員が取り組むべき問題では無いと私は思います。

例えば美術館。自由な空間を思考することはトレーニングとしては良いと思います。でも全く実体経済との結びつきが見えないから、ただの空間創造トレーニングにしかならない。まあ、建築学科=空間創造学科だったら良いんですが、建築は社会に強烈にコミットしてくるので、そういう訳にはいかない。

例えば企業の保養所。保養所?そんなもの建てる会社は、今どきありますか?バブル期に建て過ぎた保養所の後始末の方が大変なのに。そんな時代に何で保養所なんて課題が成立するんでしょうか?ホテルと読み替えれば良いのかな?ホテルだったらファンドの投資対象になるか。その場合は、リッツとかハイアットとかの内装やホスピタリティみたいなものまで、ちゃんと経験した方が良いでしょう。

都市施設はオフィスビルや商業ビルと読み替えればやる価値は有ると思います。
個人住宅はささやかな実需としてはずっと残るので、これも有り。

実はこれらの課題は、私が学んだ時代のもっと前から続いているものです。
たぶん、それこそバブルの時代から。その惰性で課題設定もずっと来ている。それが現状だと思います。

1990年代のバブルが終わり、急速にマネーがシュリンクして、マネーは建築に向かわなくなりました。その当時の建築ラッシュを支えていた根拠であった「バブルマネー」と「パトロン(企業)」の存在も無くなりました。で、美術館とか保養所とかは全く建たなくなったわけです。
しかし、それ以降、建築に投資するスキームは急速に整備されて、2006年頃から再び建築にマネーが投下されるようになっています。その根拠は「投資収益性」「経済合理性」です。簡単に言えば「儲かるから建てる」です。僕はこの状況をしっかりと受け止めて、それに対する答えを建築家が提示していくべきだと思っています。

これは僕の考えですが、建築と経済の結びつきをもっと教えた方が良い。経済学を勉強しろとまでは言わないですが、「なぜ建築を建てる必要があるのか」「建築の需要はどこから生まれるのか?」「なぜオフィスビルが山ほどあるのに、相変わらず増え続けるのか?」「どうして、糞みたいな金太郎飴型のワンルームマンションばっかり建つのか?」そういったことをしっかりと教えて、そこから思考させて「じゃあ、今本当に必要な建築って何なんだろう?建築家の提案がどこで必要とされているんだろう?」そこを考えさせた方が良いのではないか、と思っています。

大学教育も変わっていかなくてはなりません。
改めて強く感じた卒業設計講評会でした。

R-STORE 浅井

by r-store_asai | 2013-02-27 11:21 | ブログ

備忘録的投稿とカメラと湯吞み

こんにちは、R-STOREの浅井です。
今日は備忘録的投稿。ご容赦ください。

ここのところ、ずーっとサイトのPV(ページビュー)数が微減していて、でもUU(ユニークユーザー)数は増えているという変な現象が起こっており、なんなんだろう・・・と。小骨が喉の奥に引っかかったような違和感を感じていたのだが、本日原因判明。

私が想定していたのよりずっと多くの人が、iPhoneやAndroidといったスマホ端末からR-STOREを見てくれていたという話。

昨年3月のアクセス数を1とすると今年1月までのアクセスの増加は
PC:1→2.05
スマホ:1→3.22
総アクセス数に占めるスマホの割合:22%→37%
PCの一人当たりのPV数 約10ページ
スマホの一人当たりのPV数 約7ページ

こういう事だったんですね・・・
スマホの勢力拡大恐るべし。

スマホでR-STOREを見て下さる方が増えている反面、さすがにスマホの方が画面が小さかったり操作性が悪かったりということで、一人当たりのPV数は少ない。そこで、

ユーザー数:増加
PV数:減少

という奇妙な現象となったんですね・・・

あー、すっきりした。

逆にR-STOREのスマホサイトはまだまだ改善余地があるということ。
早速、とりかかりたいと思います!

ところで、最近買ったカメラがとてもハンサムなので、お披露目したいです。
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OLYMPUSのコンパクト一眼の名器OMシリーズのデジタル版OM-Dに、90mm(35mm換算)の単焦点レンズを装着したイケてるやつ。ボディは黒いけど、レンズはシルバー?シルバーしか無かったんです。このレンズが。。。でもこれはこれで好きです。

試写してみる。
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タイトル「習作1 静物」。

いいんじゃないですか、コレ。このボケ具合。
お椀は忘れましたが、湯吞みはCLASKAのDoで買ったお気に入りです。

R-STORE浅井

by r-store_asai | 2013-02-25 18:20 | ハンサムなもの

実需と投資

こんにちは、R-STORE(アールストア)の浅井です。

建築が建つ理由について考えることは僕のライフワークみたいになっています。
前回のエントリーで、需要は建築を建てる重要な根拠になり得ると書きました。当たり前と言えば当たり前。家が不足しているから建てる。住むところが足りないから建てる。治水のためにダムが必要だ。役所が必要だ。公民館が必要だ。戦後の日本は、そういった需要に支えられて土建国家への道を歩んだ訳です。
そして気がつくとバブルが崩壊し、残ったのは訳の分からないハコモノと呼ばれる公共施設や、5000万世帯しかない日本に6000万戸もの住宅があるというおかしな状況になっていました。

要するに現在は大部分の需要はすでに満たされている状況であり、「需要」というものが建築を建てる根拠になり辛い状況にあります。では、どうして建築を建てる必要があるのか?いらないものはいらない。環境負荷を考えたって、今あるものを使う方が良い。だから、需要ということを考えると、ほぼ建築家の活躍できるフィールドはないという辛い状況です。

実は整理して考えると、建築の建てられるべき根拠というのは2つしかありません。それがタイトルの「実需」と「投資」です。
「実需」というのは、漢字が表すとおり実際の需要が根拠となる建築です。「自宅を建てたい」「自社オフィスが欲しい」などなど。これに関しての現在の状況は前述した通りです。

それに対し、「投資」というのは、その建築を建てることで、家賃収入を得て効率的にお金を殖やす目的を持って建てられるものです。賃貸住宅、賃貸オフィス、賃貸店舗・・・・。そこに需要があるかどうかをマーケティングし、「有る」と推測されれば、そこに投資が行われます。
「投資」というとなんだか大上段で分かりづらいですが、地主さんが自分の余った土地に賃貸アパートを建てることも投資の一つです。逆に高度に金融商品化したものもあります。REITというのがそれですね。数十億、数百億の不動産物件を、小口に証券化し10万とか50万とか、そういった金額から投資ができます。あとは、ファンドという形式で、お金を投資家から募って建てるケースもあります。
世界には多くの資産運用会社があり、それぞれ独自の運用方針を持っていますが、株式や債権と組み合わせて不動産にも投資するというのは、かなりメジャーな投資スタンスになっています。ハイリスクハイリターンの株式、ローリスクローリターンの債権、ミドルリスクの不動産というふうに分散投資することでリスクヘッジするわけです。逆に言えば、投資先を探しているマネーの対象には常に不動産も含まれているのが現状です。

前置きが長くなりましたが、人口減少や高齢化によって「実需」の盛り上がりが望めない日本において、どこに建築の根拠を求めるのかというと、これは「投資」しか無い訳ですね。「実需」は細っているわけですが、依然として政治的にも経済的にも安定している日本において、不動産に投資するということはリスクの少ない堅実な投資だと考えられています。
つまり、これから建築家が活躍できるフィールドは実需の住宅などではなく、「投資用建築」です。主にはオフィスビル、賃貸住宅、商業ビルなどですね。

現在のところ、この領域はノウハウを長年積み重ねてきたゼネコンの設計部や、大手の組織設計事務所の寡占状態にあります。でも彼らの設計は時として非常に退屈です。この退屈な状況のブレイクスルーを僕は建築家に期待しています。
そうなってくると、建築的な知識だけでなく、マネーの知識、投資に関する知識、商業ビルであればテナントがどんな空間を望むのか・・・・などなどより広範囲に渡る知識、見識が求められるでしょう。でも、そこは我々と組めば良いんです。なにも全て自分たちでやらなくていい。不動産屋と組んで、不足した知識は補完しつつ、退屈な状況をブレイクスルーしましょうよ、と。

そんなことを、ずっと考えています。
最後に最近の私のお気に入りの建築。谷口吉生氏の「フォーラムエンジニアリング青山ビル」。
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非常にシンプルで使いやすそうなオフィスビルでありながら、なんと支える柱は400mm角!実際見ると、細く、とても繊細で美しいビルです。こういった建築なら、自分のファンドのポートフォリオに組み込みたいと思う投資家はたくさんいるでしょう。こういう作家性の発揮の仕方もあるんですよね。
そんな活躍を建築家に期待しています。

R-STORE 浅井

by r-store_asai | 2013-02-20 10:52

母校の卒業設計の講評に行ってきました。

こんにちは。R-STOREの浅井です。

去る2月9日、母校である首都大学東京(旧東京都立大学)建築学科の卒業設計の審査員としてお招きいただき、行って参りました。
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審査員としての参加は今年が2回目ですが、普段設計の現場に触れていない私としては、何日も徹夜を続けながら巨大な模型とプレゼンテーションをつくりあげる学生たちのパワーには、毎度圧倒されます。
しかも今年からは卒業設計「展」と銘打ち、今までは学内にしか公表されていなかった学生たちの作品を、初めて学外にも公表しようという意欲的な試みでもありました。
私が日頃から指摘している「アカデミックな閉じた建築界」に対する問題意識を学生も持ちつつあるのか、今後も注目したいと思います。

ところで、本題の作品についてですが、簡単に思った事をコメント。その場で適格なコメントをするのが審査員の役目ですが、僕の未熟さもあり、後々反芻してやっと自分で納得できる評価ができたりします。

大賞は岡野愛結美さんの「にぎわうシカク」という小学校の提案でした。小学校はセキュリティの問題から社会に対して閉鎖的になる傾向があります。その一方で、中の様子もわからず子供の騒ぎ声だけが聞こえてくる近隣住民にとっては「迷惑施設」として捉えられているという問題があります。その双方の問題を設計によって解決しようとした作品でした。

準大賞は2作品で、一つは大林和磨さんの「森が紡ぐ記憶の火葬場」という作品でした。実は火葬場というのは全国的に不足しているようで、特に東京では火葬までに5日間ほど冷凍保存して火葬を待つというような現状があるようです。不足している火葬場という課題に、どう設計で応えるか。また「死」という問題にどう建築として向き合うか。そんなテーマだったと思います。

もう一つの準大賞は平嵜大地さんの「アレグザンダーのさがしもの」という都市計画の方法論に関する作品でした。廃止が予定されている伊丹空港を敷地として設定し、その巨大な敷地をどのように計画していくのか、その方法論を自分なりに導きだそうとした意欲作でした。

他にも20作品ほどあって、それぞれの作品を拝見し、総論として感じたことは、建築が建てられる根拠に対する意識が希薄なのではないか?ということでした。設計としては良い、でも「本当にそれって必要なの?どこに需要があるの?なぜ建てる必要があるの?」という建築が建てられるべき理由に対する問いかけが不足しているように感じました。例えば住宅が圧倒的に不足していた戦後には、住宅が建てられるべき理由がありました。でも、それは今は無い。それでも住宅を建てるのは何故なのか?そこには然るべき理由が必要だというのが僕の立場です。理由なき建築を建てることは、建築の受給のバランスを崩すし、そもそも公共事業に関して言えば、そんな財政的な余裕はないのです。だから、徹底的に理由を問いつめるスタンスが必要だと考えています。

当然と言えば当然なんですが、建築の建てられる最も強固な根拠は「需要」があるかどうか、です。だから準大賞の大林さんの火葬場に対する提案は、最も強固な建てられるべき根拠を持っており、だからこそ設計の良し悪しは抜きにして、強いリアリティを感じました。ちなみに、私はこの作品を大賞に押しました。

審査委員長として参加していたメジロスタジオの古澤さんからは、「需要があるから建てるというのはネガティブな発想だ。建築家は需要をつくりだす仕事だ。」という意見をいただきました。確かにそういう側面もあって然るべきだし、そうあって欲しいと思っています。ただ、「需要があるから建てる」ということをネガティブだと言い切って、そこに対して建築家が積極的な関与をしていかないのであれば、どこぞやの三流ディベロッパーが適当な設計をした火葬場が乱立し、一通りの需要を満たした後に「しょうもない火葬場が多い」と建築家の立場から空しい批評することになるのだと思います。

需要のあるところには、投資マネーも流入してきます。だからこそ、建築家のビジネスチャンスも多い。そこに建築家が切り込んで行かなければ、お金に対する嗅覚の敏感なディベロッパーたちが、どうしようもないものを建てまくるという状況が起こるでしょう(もちろん建築家の建てたものだから良いというわけではないですが)。だからこそ、建築家は「需要」に対して敏感であって欲しい、そう思った一日でした。

ちなみに、そういう意味では大賞の岡野さんの作品は、設計としては素敵なものでしたが、少子化が進み小学校の統廃合が進む日本で、敢えて小学校に対する提案が必要かどうか、というのは疑問に思いました。ただ深刻な待機児童問題をかかえる保育園にも転用出来る提案であり、保育園に置き換えれば確かな「需要」がそこにはあると感じました。

また、もう一つの準大賞の平嵜さんの作品は、「事業主」が誰なのかを強く意識することで、よりリアリティをもった作品になると感じました。おそらく伊丹空港が廃止されたのならば、その土地は民間に払い下げになるに違いありません。自治体が自ら資本投下するほど、日本の自治体は裕福ではないからです。そうなると、民間のディベロッパーが開発に携わる事になるので、そこに対するアプローチが必要でしょう。なかなか社会人を経験していない立場で、そこまで考えを及ばせることは難しいと思いますが、そのような意識を持ちながら設計に望んで欲しいと思いました。

最後に個人的には、四谷駅の南北線と丸ノ内線を結ぶ通路を計画した竹田さん低所得者向けに子育ての役割を団地の住人でシェアしあうリノベーションの提案をした津田さん、前者は商業的なポテンシャルが非常に高い場所に魅力的な空間をつくる計画で、そこに投資マネーを呼び込める提案の力強さを感じました。ただし、通路の設計がほとんどで、商業的なアプローチがなかったのは残念です。後者はシングルマザーや子育てのために働くことが難しい方々の社会参画を促す提案で、社会保障費の増大や、生活保護費の削減か喫緊の課題になっている現在だからこそ、女性の社会参画や収入増を促すことで、社会保障費を削減していくことにも繋がる提案だと感じ、そこに必要性=「需要」を感じることができました。ただし、これも民間が公からの補助無しで自立して事業化するためには、もう一段の事業性の精査が必要です。

しかし、またしても不動産屋の視点と建築家の視点との違いが浮き彫りにならざるを得ず(どちらが正しいというわけではないです)・・・
私は多分拝金主義者だと思われているんだろうな(笑)。金、金って言ってたし。

これに懲りず、来年以降もお招きいただけるのであれば、ぜひやってみたいと思っています。

R-STORE 浅井

by r-store_asai | 2013-02-13 10:52 | ブログ

仲介手数料の話。

こんにちは、R-STOREの浅井です。

不動産屋をやってると、「いいよね、物件を紹介するだけでお金もらえて」と蔑まれた目で言われることがあります(笑)。
私の場合、心の中で「悔しいな」と思いながらも甘んじてその言葉に耳を傾け、反省することにしています。
なぜなら、他の不動産屋がどのような仕事の仕方をしているのかは知りませんが、少なくともそのような「誤解」は不動産屋が今までお客様から頂くお金の意味合いを明らかにしてこなかったことに起因しているのは確実で、同じ業界で業務に携わる者として、責任の一端を感じざるを得ないからです。

なので、今日はここで弊社の頂戴するお金についてお話しようと思います。
先日のエントリーに対する反応でも、不動産屋の役割がずいぶん誤解されているようだったので、その誤解も解けるといいなあ、と。

まず、不動産屋に支払うお金には

・敷金 家賃の1〜2ヶ月分
・礼金 家賃の1〜2ヶ月分
・前家賃 初月の家賃を契約と同時に支払います。
・仲介手数料 家賃の1ヶ月分
・火災保険料 2万円程度

少なくともこの5種類があります。場合によっては、これに「家賃保証委託料」とか「鍵交換代」とかが入ってきます。たくさんありますね。初めて家を探される方なんかは大混乱じゃないでしょうか?

しかし、これだけ色々とある中で、我々不動産仲介業者の手元に残るのは「仲介手数料」これだけです。他のお金は火災保険料を除き全て大家さんに入ります。これが全部不動産業者の儲けになっていると思っている方もいて、「お前ら儲け過ぎだよ」ってお叱りを受けることもありますが、全然違います。

「じゃあ、仲介手数料って何?何してくれるの?」ということになるのですが、普通の感覚だと膨大な物件情報の中から「これ見たいんですけど」って探すのは自分だし、確かに鍵開けて中を見せてくれるけど、それだけで1ヶ月分もお金払うの?高過ぎるでしょ、と。そういうことになりますよね。契約には一応立ち会ってくれるけど、契約書なんてググればひな形はいくらでも転がってる時代です。何なんでしょうね?仲介業者の存在意義って。鍵を大家さんから借りる係?だったら日本全国のマンションを電子キーにして、ワンタイムパスワードで入れるようにしてよ、と。勝手に見に行くから、と。僕も本気でそう考えたことあります(笑)。

私が考える仲介業の役割は、2つあります。

1つは情報の集約です。そしてもう1つは情報の選別です。

前者はどこの不動産仲介業者でもやっています。不動産業者しか閲覧することができないREINSというデータベースがありまして、このサイトに募集中の物件情報がだいたいデータベース化されています。
不動産業者はこのREINSというデータベースを使って情報を集めます。例えば都立大学駅前の不動産屋なら都立大学駅周辺の物件情報をREINSから集めるわけです。でも、この作業は一瞬です。REINSという仕組みを作ってくれた人は偉いけど、これを使えば誰でも情報は集められます。一応まだ不動産業を続けたいので我慢しますが、ここでIDとPWを公開すれば、だれでもREINSで物件を探せます。不動産屋じゃなくても探せます。そのかわり弊社は多分業界から追放されるので、やめておきます。社員を路頭に迷わせる訳にはいきません。
要するに、この情報の集約作業は実に簡単であまり価値が無いということを言っておきます。

2つ目は情報の選別と言いましたが、これが正に弊社のレーゾンテートルです。REINSで物件を探すとすぐにわかるのですが、都立大学駅指定で8万〜10万円のお部屋205件も登録されています。
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REINSの画面。都立大学で8万〜10万は205件あった。

この中から、あなたが気に入るであろう部屋をどうやって探します?205件見ます?無理ですね。とにかく圧倒的に物件が多い。これで、駅近、新築、南向き、とか定量的な条件をつけていくと、どんどん絞られて探しやすくなるのですが、例えば「かわいい感じ」とか「倉庫っぽい感じ」とか「窓から緑が見えて、公園の近く」とか、そういう定性的なニーズの場合、この中から探すには実際に見に行くしかないんですね。

他の不動産屋さんがどのようにしているかは知りませんが、弊社の場合はこれを本当に現地まで見に行きます。見に行って、実際に現地に立って、「ああ、いいな、この家」と思うと写真を撮って帰ってきて、原稿にして、R-STOREにアップして、皆さんに紹介します。これを弊社では「取材」と呼んでいます。
写真も適当に携帯で撮ったりしません。プロのカメラマンの講習を定期的に受けます。暑い日も寒い日も、一眼レフと三脚をかついで取材します。どのようにすれば、本当にこの物件を探している人にちゃんと魅力が伝わるか、それを考えながら物件を隅々まで見ます。
見に行くまではわかりませんから、「良いかも!」と思って見に行った結果、全然ダメなものもあります。そういう場合は人件費と交通費だけが浪費され、非常にむなしい気分になります。
でも、逆にとても良い物件に巡り会って、それをR-STOREで紹介させていただき、それを皆様に見て頂き、ピンときた方が内覧をしてくれて、そして契約に至ったとき、「ああ、報われた」と。そういう気分になる訳です。

これが、2つめの物件の選別ですね。

R-STOREの場合、だいたい業務の7割くらいをこの選別作業に費やしています。本当に紹介する価値のある物件を無数にある不動産の中から選別して取材する。これに7割。つまり皆様にご紹介するまでに、結構な時間と労力費やしているのです。その労務が報われる瞬間が仲介手数料をいただく瞬間です。

少なくとも弊社に限って言えば、仲介手数料というのは、そんな意味合いのお金です。したがって申し訳ないですが、R-STOREは仲介手数料は値引きしません。それだけの時間と労力とプライドをかけてやっているので、自分からディスカウントするようなことはしたくありません。

払うお金はなるべく安い方が良いのは、皆さん同じだと思いますが、このエントリーで「ああ、仲介手数料ってそいう意味もある(場合もある)のね」と思って下さる方がいらっしゃれば嬉しいです。

浅井

by r-store_asai | 2013-02-06 15:47 | ブログ


リノベーション、デザイナーズ、改造OK,賃貸住宅のセレクトショップR-STOREのハンサム社長浅井佳が綴る、住宅やライフスタイルのこと。


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リノベーション・デザイナーズ改装自由、面白くておしゃれな賃貸不動産がいっぱいです。
R-STORE
http://www.r-store.jp

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