エキサイトイズム

<   2013年 08月 ( 3 )   > この月の画像一覧

b6の解体と神話崩壊 その1

こんにちは、R-STOREの浅井です。

先日、明治通りを歩いていると、b6(東京都渋谷区神宮前6-28-6)という商業施設が解体され始めていました。何気なく前を通過したときは、ファサードの大規模改修でもしているのかと思いました。なぜなら、この商業施設が建てられたのは、2006年くらいだったと記憶していたからです。しかし、改修にしては様子もおかしいので、看板をよく見ると「解体工事」という文字。すぐにその場で竣工年を調べると、やはり2006年9月。相当に驚きました。建てられてから10年も立たずに解体されるというのはどういうことだ、と。
c0250964_12403376.jpg
解体されるb6

延べ床面積は5000平米弱にも及ぶ大規模な施設です。単純に坪当たりの工事費が70万/坪だと計算しても建物だけで10億にも及ぶプロジェクト。土地の面積が2200平米。取得時点ではまだ地価はそこまで高騰していなかったと思いますが、明治通りという立地を考えると、最低でも坪当たり3000万くらいはしたのではないかと思います。そうすると土地の取得費は約200億円。それだけの投資をした施設が7年で解体されるというのは、異常事態。仮に7年で投資を改修すると考えると利回りは15%程度必要で、この一等地ではあり得ない。恐らく当初の目論みでは5%くらいの利回りを出せれば良いと考えていたのではないでしょうか?そうすると目論み通りにいったとしても、20年は存続しなければいけない訳ですから、いかに異常なことかわかっていただけると思います。まあ、こんな数字を並べなくても、これだけの規模の建物が7年で解体されてゴミと帰すわけですから、誰であっても、もったいないとか、異常だということは感じていただけると思います。

で、どうしてこんなことになっちゃったの?という話なんですが、要するにテナントがつかないんですよね、このビル。僕も何度か個人的に足を運んだことがありますが、まずファサードが全部閉じられていて、中のテナントの様子が窺い知れない。だから目的買いの人はまだしも、一見さんは非常に入りにくい。一応各店舗のビルボードはついているのですが、2階以上の高さにあるので、通りの反対側からしか視認できない。ご存知の通り明治通りは道路幅もありますので、通りの反対側で店舗の存在に気づいても、容易には入れないわけです。あとは、やっぱりビルボードで店舗の存在は認識されるとは言っても、ガラス越しに店内の様子がわかるのとは全く違いますよね。お客さんが入ってるかどうかとか、何を売っているのかとか、店舗の雰囲気とか。そういったものはビルボードではわからないわけで、でもこちらとしては、そういった雰囲気からいろんな情報を認識して入店するかどうか決める訳です。だから、「お客さんが入らない=売上が上がらない=テナントが入らない」

施設に入ってみると、今度はサイン計画が最悪。本当にわかりづらい。デザインとしてミニマルで凝っているのはわかるけど、店舗名ではなく、マップにaとかbとか記号で表されていて(記憶頼りです。間違っていたらすいません)、マップとは別に記号と店舗名を対応させるサインがあって。要するにマップを見てから、視線を一旦マップから外して、今度は対応表を見るということをしないといけない。だから、「ああ、こんな店もあるんだー」みたいな発見が起こりにくい訳です。マップに直接テナント名が書いてあれば探しやすいのになー、と何度も思いました。確かにサインそれ自体の図としての美しさはわかるんですが、探しにくいんじゃ意味ねえよ、と。「探しにくい=お客さんあきらめる=客来ない=売り上がらない=テナント退去」みたいな。

明治通りに面したファサードの一角を付置義務の駐車場の入り口に占有されてしまっているというような、抗うことのできない、どうしようもなく不幸な要因ももちろんあるのですが、大きくはこの2要因によって、テナント候補から極めて評判が悪かったのがこのビルです。

商業施設は投資をテナントの賃料で回収するわけです。だから、テナントが入らなければ失敗。テナントが入らなければ利回りも出ないので、売却価格も下がる。行くも地獄、とどまるも地獄という状態で、リーマンショックが起こり、テナントの出店意欲がさらに減退。ディベロッパーも倒産するという最悪な負のスパイラルが起こったわけです。
で、融資している金融機関は少しでも融資を回収したいので、売りたい、と。でも、簡単には減損できないから、極端に安い値段での購入希望はあったかもしれないけど、それでは売れない。あーだ、こーだやりながら、一応今までは営業を続けていた、と。しかし、ここへ来てアベノミクスで景気も上向き傾向にあり、不動産価格も上昇傾向であるということで、今まで見向きもされなかったb6を、銀行も首を縦に振れる価格で買いたいという会社が現れた。それが東急不動産だったわけですが、しかし、買った側も「この商業施設使えないんだよな」という認識はもちろんあるので、解体して建て直しましょう、と。で、悲しくも7年の短い生涯を閉じることになった、と。そういうストーリーですね。

前置きが長くなりましたが、この施設の解体に至るまでには、こんなストーリーがある訳です。そのストーリーを一言で簡潔に言うならば「テナントが入らなかったから解体された」と。これに尽きます。

じゃあ、なんでテナントが入らなかったの?と。
やっぱり設計の問題だと思うんですよね。商業施設のセオリーをわかっていない。テナントが何を求めるのかがわかってない。お客さんが何を見たいのかわかっていない。ディベロッパーもわかってないから、ある程度有名な建築家に丸投げして、その提案を信用するしかない。で、建築家の方は「グラフィックデザイナーや照明デザイナー、ランドスケープデザイナーと一緒にデザインでき、刺激を受けながら進行できたプロジェクトでした。」とか語ってしまい、最終的に7年で解体された、と。そりゃ、刺激的でしょうよ、これだけのお金も無駄になったし、ゴミもたくさん出して、環境負荷も最高に高いプロジェクトなんだから。色んな意味で刺激が強過ぎます。

で、今度東急が建てるビルは、ガラス張りの視認性の高いビル。そりゃ、そうでしょう、と。最初からこれやってれば、こんな無駄なかったのに、と。非常に悲しい気分になりました。
c0250964_12431553.jpg
新しい計画。設計はKDa。


まだまだ書きたいのですが、非常に長くなるので、2回にわけたいと思います。
次回、なぜこんな不幸なスパイラルが起こったのか、もう少し突っ込んで考えたいと思います。

このあたりで。

R-STORE浅井

by r-store_asai | 2013-08-28 12:51 | ブログ

茎茶事件。

こんにちは、R-STOREの浅井です。

今日は閑話休題で、全く不動産や建築と関係無い話なんですが、私は怒っています。というのも、実はある方のブログを拝見しまして、「防腐剤入りペットボトル茶どころか!放射能入りペットボトル茶!」というタイトルのブログなんですが、僕自身はペットボトルのお茶はほぼ飲まないので、防腐剤で汚染されようが、放射能で汚染されようがどちらでも良いのですが、見過ごせない一文があったのです。
その方曰く「ペットボトル茶は、お茶ではありません」と・・・ふむふむ。「茶葉ならまだマシで、重大なカラクリは、ペットボトル茶の主成分は茶葉を摘み取った後、捨てるしかない茎を使っているのです。(中略)茎をお茶にするなど、言語同断、消費者をバカにしています。こんな茎に栄養もなく、茶本来の効用は何一つありません。」と続きます・・・

なぬーーーーーー!!!
私はお茶どころの静岡県出身なので、ダイニングテーブルの上には常に急須と湯吞みがある環境で育ちました。お茶屋さんを営んでいる友人もいます。そんな僕が普段使いのお茶(お客様用ではなく)として飲んでいるのは「茎茶」と呼ばれるもので、正に「茎」を使ったお茶なわけです。(wikipedia「茎茶」参照嶋津商店「くき茶」参照)
c0250964_1048439.jpg
                嶋津商店の茎茶。特上です。


まあ、私は美味しく頂いていますので、栄養分とか本来の効用とかどっちでも良いんですが、茎茶自体はどこのお茶屋さんでも扱っているし、デパ地下なんかでも売っている普通のお茶です。それなのに、こういう根拠の無いというか、完全に間違った主張を、どうしてこうも自信満々にするんでしょうかね。

このお茶ブログで私の怒りは頂点に達したわけですが(笑)、例えば放射能汚染に関することで「危険だ!」と言ってみたり、遺伝子組み換え製品は「危険だ!」と言ってみたり、日本国民は政治家に洗脳されている!と言ってみたり、もうね、質の悪いゴシップ系週刊誌以下ですよ。少し調べてみれば何の根拠もなかったり、不確かだったり、しかもそれをまたFBでシェアしまくって、不安をあおったり、煽動しようとしてみたり・・・ なんかそういうのを目にするだけでうんざりなわけです。落ち着けよ、もう少し調べろよ、と。ちょっとgoogleやwikipediaで調べれば、「あれ?ちょっとおかしいかも」ってわかるはずなんですよ。でも、何でこういうこと言っちゃうんだろうなー、痛い人たちだなー、と。ここ最近すごく疑問でもやもやしていたんですが、起業家・投資家として著名な家入一真さんのFBのエントリーを見て、「ああ、なるほどね」と思いました。

彼曰く「彼らは注意喚起をすることで承認欲求を満たしてるだけ」だと。承認欲求つまり「他人から認められたいとする感情」ですね。とにかく煽って、それがシェアされたり「いいね!」されることで、自分が認められているという満足感や優越感にひたることができる、と。なるほどーと納得したんですね。そういう承認欲求が強い方にとっては、FBに代表されるSNSは確かに格好の発信の場なわけです。なにしろ「いいね!」とか「シェア」とか「RT」のあの気楽さ。

家入さんも言っていますが、こっちは良い大人なんだから注意喚起されなくても、自分で判断するよ、と。ペットボトルのお茶を飲むかどうかなんて、自分で判断するよ、と。ペットボトルのお茶で死んだ人なんて聞いた事ないんだから。放射能も自分で判断するし、必要な情報は自分でとれる。遺伝子組み替え食品に危険性があるかどうか非常に不確かであるというか、むしろ無いとされていることだってすぐにわかる。自分で判断する。だから、とにかくウソや間違いや不確かな情報を自信満々に言ったりとかシェアしたりすることは、うっとうしいからやめてくれ、と。まあここ最近思っている訳です。

あまりにもそう言う人たちの感情や考えが理解できなくて、自分なりに深読みして、「彼らはひょっとしたら極左のテロリストの一味で国民を煽動して国家転覆を狙ってるんじゃないか、もしくはその一味にだまされている哀れな人々なのではないか」とか想像してみたんですが、そう極端に考えなくてもよさそうなことがわかってきたので、昨日からは落ち着いています。そして、自分としてはそういった極端な意見の持ち主もいるということを認め、それらに寛容であることが平和をもたらすのではないかと、また大袈裟に思っているわけですが、この話はまた今度。

あまりにも、ブログタイトルとかけ離れた話ですいません(笑)
こんなところで。

R-STORE浅井

by r-store_asai | 2013-08-21 10:54 | ブログ

Tokyo Apartment を見に行った。

こんにちは、R-STOREの浅井です。

先日、藤本壮介氏設計の東京アパートメントを拝見する機会があった。2010年に建築された集合住宅で、国内外のメディアにも数多く取り上げられ、日本で最も有名な住宅の一つと言ってよいかもしれない。
幸運にも大学の後輩のアレンジで、オーナーの上田氏に直接ご案内いただく機会に恵まれた。

私は藤本氏にお会いしたことはないし、専門誌も読まなくなって久しいので、はっきり言って藤本氏について何も知らない。建築の写真を何点か雑誌で拝見した程度で、日本の若手建築家の中では有名な方の一人、という程度の認識。藤本氏からお話をお聞きしたわけではないので、フェアな感想ではないかもしれない。なので、事実誤認しているかもしれないし、失礼かもしれない。そういうところがあれば遠慮なく指摘して欲しいし、先に謝っておく。それに、これ以降の文章は藤本氏評というより、上田氏評なのでご容赦を。
c0250964_1252611.jpg
Tokyo Apartment with 上田氏の洗濯物  藤本壮介氏設計 2010年竣工
c0250964_12521460.jpg
フォトジェニック・・・

でも、それらを差し引いても、この住宅を見て、藤本氏がこの住宅に込めた想像や思惑を、オーナーの人生観やモチベーションが軽々と凌駕している印象を受けた。誤解を恐れずに言えば(もちろんデザインをしたのは藤本氏なのだが)藤本氏はこの住宅を上田氏につくら「された」のではないか、という印象。大仏の手のひらを走り回っていたと言ったら言い過ぎか。しかし、上田氏の強烈なモチベーションや人生観のようなものに、導かれつつこの住宅が出来るべくして出来上がっていったように感じた。

この住宅は非常にフォトジェニックで、私も初めて雑誌で拝見したときのインパクトは強烈なものだった。今でも国内外問わず様々な方が見学に来られる。そんな住宅なのだ。しかし、上田氏はそんな住宅のフォトジェニックな外観を屁とも思わないかのように、タオルやらシーツやらデニムやら(下着は無かったかも笑)の洗濯物を干しまくっている。それが、また結構良かったりする。建築家の住宅は「竣工した瞬間が最高」と良く言われる。まあ皮肉まじりだが、「あとは汚くなっていくだけ」という意味だ。でも、この住宅は良い意味で「使い倒されて」いる。おそるおそる使うのではなく、使い倒す。それは使いたいように使うということでもあり、建築家の当初の想定なんざ関係ないというわけだ。でも、それが良い。そんなところから、上田氏のこの建物に対する愛情を滅茶苦茶感じたりする。
c0250964_12515851.jpg
めっちゃ洗濯物干してますw 「写真に入っちゃうけどいいっすよねー?」「いいよー」みたいな感じ。
c0250964_12523321.jpg
これでも洗濯物はよけたんですがw

上田氏は今後はこの場をクリエイターや建築家が自然と集まり、場をシェアし、発信していく場にしたいと言う。小竹向原駅から徒歩15分くらいのお世辞にも便利とは言えない住宅街ひっそりと建つこの建物を。
しかし、この建物には竣工してから既に3000人以上の人が訪れたそうだ。年間1000人、1日3人。そんな状況を見て、この場所から何かを発信できると確信したらしい。いや、むしろそれすら彼の想定内だったとも思う。「3年で3000人もクリエイターが来るんだよ。ここにいれば新しい出会いが生まれるんだよ。」と楽しそうに話す上田氏。何かをもう一度発信したい、しかもこの土地から。だからこのフォトジェニックな建築が必要だったのだ。
c0250964_12524874.jpg
すでにシェア用にデスクを少し作ったりしてる。

などと上田氏と話をしていると、ファッションデザイナーを名乗る男性が、アポ無しでふらっと見学に来られた。その方と上田氏は楽しそうに会話している。
そう、ここは本当にそういう場所なのだ。

そして、今この上田氏と密にコミュニケーションして、新しいこの建物の使い方を考えているのは、藤本氏とは全く別の建築家(先述の後輩)だったりする。これもまた今までになかったやり方で面白い。

今後の上田氏とこの建物から目が離せない。

そして本当に望んでいる施主に巡り会って、望まれてこの世に産み落とされる建築って、こんなにも幸せなんだなーと久々にしんみりと感じ入った一日だった。

このあたりで。

R-STORE 浅井

by r-store_asai | 2013-08-07 13:06 | ハンサムな家


リノベーション、デザイナーズ、改造OK,賃貸住宅のセレクトショップR-STOREのハンサム社長浅井佳が綴る、住宅やライフスタイルのこと。


by r-store_asai

プロフィールを見る

リノベーション・デザイナーズ改装自由、面白くておしゃれな賃貸不動産がいっぱいです。
R-STORE
http://www.r-store.jp

ブログパーツ

最新の記事

ブログを移動しました。
at 2015-03-11 12:25
イデーの同期が素敵なボタニカ..
at 2015-02-25 14:05
不動産屋のブランディング
at 2015-02-18 11:40
aRts STOREリスタート。
at 2015-02-11 13:13
繁忙期の不動産屋が契約を急ぐ..
at 2015-02-04 18:37

以前の記事

2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月

カテゴリ

ブログ
ハンサムなもの
ハンサムな家
不動産屋
建築
経営

その他のジャンル

Copyright © Excite Japan Co., Ltd. All Rights Reserved.
免責事項 - ヘルプBB.exciteWoman.exciteエキサイト ホーム