エキサイトイズム

b6の解体と神話崩壊 その2

こんにちは、R-STOREの浅井です。

さて、前回のエントリーに続き、7年で解体となったb6についてです。
しかし、どうしてこんな不幸な建物ができてしまったんでしょうね?
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在りし日のb6。やっぱり何度見てもあり得ないデザイン。


一つの問題は、ディベロッパーに商業施設を企画するだけのノウハウが無かったということでしょう。ノウハウが無ければ、ノウハウがある人をキャスティングすれば良かったのですが、それもできなかった。著名な建築家に頼めば何とかなると思って丸投げしてしまった。例えば三菱地所設計とか、日建設計、日本設計あたりにお願いすれば、何とかなったと思いますよ。彼らには経験もあるし、社内に非建築家な職種な人たちも内包しているから、組織の強みを発揮して、バランスよくプロジェクトを進めてくれたでしょう。建築雑誌的な評価は別にして7年で解体されるという悲惨な末路はなかったと思います。ここは完全にディベロッパーの選択ミスですね。

二つ目の問題は投げられた建築家にもノウハウが無かった。ノウハウが無ければ、ノウハウがある人と組めば良いんですが、それもしなかった。
僕自身建築学科の出身で、なんとなく空気感はわかるのですが、建築家の方、特に個人でやられてる方って群れないですよね。同業や、クリエイティブ系の人とならともかく、営業とかコンサルとか不動産屋とか、非クリエイティブ系(と思われている)人とコラボしようとしないというか、全部自分でやりたがるし、やれると思っている、もしくはやらないといけないという使命感があるように思います。不幸にも商業施設のセオリーやノウハウに長けた人は、建築家の方々が組みたくない非クリエイティブ系の人々である、と。ま、これは弱冠自虐的で偏った見方ですかね(笑)。

でも、僕は一つ思い当たることがあって、建築を学んだ学生時代に、学科の教授が「ヨーロッパでは、一人の建築家が全てを決定する。外観から細部、照明や家具に至まで全て。それが建築家である。」細部は忘れましたが、そんなようなことを言われたんですね。ああ、そうか、と。それが建築家の本来の在り方か、と。僕の誤解も合ったと思いますが、建築家というのは万能であるべきだ、と。建築の設計を通して、様々な問題を一人で解決するための知見を持つべきだ、と。他の人の力を借りるなんて、邪道だ、と。そんなプライドを強烈に持つようになった気がします。

余談になりますが、以前、超がつくほど有名な建築家の方に、「Y本さんの建築はすばらしいと思う。専門誌だけじゃなくて、一般紙やテレビにも露出して、そのすばらしさを広めるべきです!」と生意気にも申し上げた事がありました。本当にその方に心酔していたんです、当時は。純粋に日本に彼の建築が増えると良いと思っていた。だから、建築関係者以外にもY本さんの建築の面白さを知って欲しかったんです。すると返ってきた答えは「だって、俺の言うことなんて(レベル高過ぎて)一般人は理解できないでしょ」。・・・絶句と失望。何?その内向きさとニートさ加減(笑)。ああ、建築家って建築家や建築雑誌に評価されること以外には余り興味ないんだ・・・・ってそのときに思いました。

まあ、バブルが崩壊するまでは、それで良かった。内向きなニートだって土地の価格は右肩上がりで土地神話なんてものがあったわけだから、何を建てても仕入れ値より高い値段で売却できたし、事業主は儲かった。今でもバブルの負の遺産みたいな建物を目にしますが、そんな糞みたいな建物でも売れて儲かるわけだから、設計なんてたいした問題にならなかった訳です。問題にならないから批判も起こらない。別に建築家がすごかったわけじゃなくて、時代が凄かったんですよ。逆に言えば、当時不動産や建築に携わってさえいれば誰でも上手くいったのに、自分が凄かったような勘違いをしてしまった、と。

でも、バブル後の世界は違うわけです。不動産に「収益性」という観点がもたらされた。1にも2にも収益性。バブル世代の建築家達はそこについてこられない。さらには、大学の教育も少なくとも私が学生の時代には収益性の視点はなかったですから、今活躍している建築家の方々も僕と同世代くらいなんで、そういう視点は欠落している人が多いと思います。それより上になったら尚更ですね。

そうすると、かなり高度なノウハウが必要になってきて、もう建築家一人じゃやりきれないわけです。欠落している部分をチームで補っていかなければならない。一人で何でもやる建築家という神話は、既に終わっているし、終わらせるべきなんだけど、ディベロッパーにもそういう認識はなかった、と。もちろん、多くの人をキャスティングすれば、それだけコストもかかるので、それをディベロッパーが嫌ったというところもあるでしょう。設計フィーだって、できるだけ抑えてというのがディベロッパーの性ですからね。

まあ、そんな感じでこの不幸な建物ができてしまった、というところだと思います。

ひょっとしたら、その3あるかもしれません。

本日はこのあたりで。

R-STORE浅井 佳

by r-store_asai | 2013-09-04 15:22 | ブログ


リノベーション、デザイナーズ、改造OK,賃貸住宅のセレクトショップR-STOREのハンサム社長浅井佳が綴る、住宅やライフスタイルのこと。


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